大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)897 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人池辺甚一郎の上告趣意第一点について。

論旨は、第二審に於て、憲法第三八条第二項に違反して不当拘禁の結果為された

自白を証拠として採用したにも拘わらず、原判決がこれを是認したのは、違法であ

るという主張に帰する。しかし記録を調べてみると、右のような憲法違反の問題は、

原上告審に於て主張されていない。元来上告審は、職権調査事項の外は、上告理由

として主張された問題についてのみ判断を示すべきものであるから、右のように主

張されなかつた事項について判断を示す必要はなく、原判決も亦何等の判断をもし

ていない。原判決が何等の判断をもしていないのに、是認したという論旨は、名を

憲法違反に藉りて架空の主張をするものである。刑訴応急措置法第一七条に依れば、

高等裁判所が上告審としてした判決に対しては、その判決において法律、命令、規

則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由

とするときに限り、最高裁判所に更に上告をすることができるのであるから、論旨

は適法の上告理由とならない。

同第二点について。

論旨は、原上告審が、憲法第三八条第三項に違反して被告人の自白を唯一の証拠

として有罪の認定をした第二審判決を是認したのは、憲法違反であると主張してい

る。しかし記録によれば、右のような憲法違反の問題は、原上告審に於て主張せら

れていないし、原判決もこの問題について何等の判断をも示していない。従つて上

記上告趣意第一点について述べたと同じ理由によつて、論旨は上告適法の理由とな

らない。

同第三点について。

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論旨は、配給制度を憲法第二五条に違反するものと主張している。本件は食糧の

配給制度に関聯して生じた事件であるから、所論の配給制度というのは、食糧の配

給制度の意味であると思われる。しかし食糧の配給制度を規定している食糧管理法

が憲法第二五条に違反するものでないことは、既に当裁判所の屡次判例(例えば昭

和二三年(れ)第二〇五号事件、同年九月二九日言渡大法廷判決参照)の示す通り

であるから、その憲法違反を前提とする論旨はすべて採用することができない。

以上の理由により刑事訴訟法第四四六条及び最高裁判所裁判事務処理規則第九条

第四項に従い主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

検察官 宮本増蔵関与

昭和二三年一二月二四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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